演劇に「大向こう」という言葉があります。これは劇場後方正面の立見席のことや、そこで観る演劇通の人のことをさします。転じて、歌舞伎で屋号「成田屋!」とか「音羽屋!」とか声をかける人のことを「大向こう」とか「大向こうさん」と言います。
誰でも「大向こうさん」になれますが、タイミングがずれたり、1階席からかけたり、女性がかけたりするのはいけないとされています。そして、若い人の声よりは年配の人の声のほうがしっくりきます。
先日、渋谷のシアターコクーンに「コクーン歌舞伎」を観にいきました。席は最後列の通路側でしたが、隣に補助椅子がでていて、シアターコクーンのバッチをつけた年配の男性が座っていました。私に「横で声をかけますから」とわざわざ断ってくださったので、大向こうさんだと思い「わかりました」と答えたら、そのあともえんえんと、コクーンに頼まれて声をかけるとか、役者さんにも許可をもらっているから云々と説明してくださる。「何故?」と思いましたが、シアターコクーンは普段は新劇でつかっているので、コクーンのお客さんは「声をかける演劇」を知らない人が多いのだと気づきました。
その男性、頼まれて来ているだけのことはあって、タイミングもぴったり、そしていい声です。う~んやっぱり歌舞伎は声がかからないとね。とあらためて思いました。
「大向こうをうならせる」(プロがみても感心する演技の意)などともいい、「大向こう」とはしゃれた言葉です。言葉も人も大切な日本の伝統、ずっと残していってほしいものだと思います。



今週の展示は上智大学写真部学外展「re:born2008」です。4月入学の1年生の作品を含むフレッシュな写真を是非ご覧下さい。6月17日まで。
先週は、今週予定していた「第肆回 板津綾二展 」が急遽延期になったり、「だったら、今の展示『-COLOURS- "ITTEKI"』を延長したい」という作家のナガサワカズミさんからのありがたい申し出があったりして、WEBの訂正やら訂正依頼やらでおおわらわでした。
どうやら落ち着いたので、昨日の休みに映画「アフタースクール」を観にいってきました。ささいなシーンがあとで重要な意味をもったり、小道具がきいていたりで、2時間弱があっというまに過ぎていき、とてもおもしろかったです。内容は少しでも書いてしまうとネタばれになってしまうので書けませんが・・・。
主演のひとりの堺雅人、この人を始めてみたのは大河ドラマの「新撰組」の山南敬助役でしたが、その後、演劇で「喪服の似合うエレクトラ」の繊細な弟役をみました。そして今の大河ドラマ「篤姫」で、毎回楽しみにしているうつけのふりをしている13代将軍家定の役、そして「アフタースクール」、これがみんな違う感じの役柄、見事に演じ分けています。何かでインタビューされているのを見ましたが、けっこうちゃらちゃらした感じ(失礼)で、これまたどの役の雰囲気とも違いました。こういう人を役者っていうんだろうなと感じさせる役者さんです。
「アフタースクール」は観に行ったあとで、「あれはこうだよね~」というように誰かと話したくなる映画です。同じことを感じたひと、この指と~まれ。


今週は先週からの続きで「COLOURS- "ITTEKI"」。キツネの子は男の子もいます。是非会いに来てください。6月10日迄。