「感染症を避けるために、できるだけ人ごみには行かないように」と言われている私は、病院やギャラリー以外はなるべく外出しないようにしています。とはいってもねぇ、ずっと家にいるのもつまらない。そんなんでストレスをためるのはよくないよねーと勝手に決めて、歌舞伎をはじめとする行きたい演劇のチケットは迷わず買うようにしています。
そんなわけで、水曜日に歌舞伎に行ってきました。2階西側(舞台に向かって左手)の席で、宙乗りがある今月は特等席、役者さんが目の前にみえます。染五郎さん迫力あってかっこよかったです。
そして今月は三代目中村又五郎、四代目中村歌昇の襲名披露の口上があります。
「とざい、とぉーざい」ではじまり、役者がずらりと並び、襲名する役者さんを盛り立て、ひとりずつ挨拶をします。その美しい日本語と様式美が、たまらなく好きです。もう口上は何十回もみているし、挨拶の内容もそんなに変わるわけではないのに、見るたびにいいなぁとうっとりしてしまいます。
最後をしめるお決まりの科白「隅から隅までずずずいーーっっと、請い願い申し上げ奉りまする。」や客席からかかる「播磨屋~」という声もいい。日本人に生まれてよかったと思う瞬間です。
この「とざい、とぉーざい」は、文楽の黒子が、人形使いや、浄瑠璃の太夫を紹介するときにも使います。歌舞伎と違ってちょっとめんどくさそうに(いや本当にめんどくさいわけではないんだろうけど)言うのも好きです。漢字で書くと「東西、東西」、舞台を南とみたて、向かって左側を西、右側を東と呼ぶので、客席のお客さん皆という意味があるらしいです。
かくして私のストレスも解消するというわけです。
先週の新聞に星の話が2つ載っていました。
ひとつは「ブラックホールが星をのみこむ瞬間」を観測したというもの。日本の「きぼう」の観測装置とアメリカの衛星スウィフトが、それまで暗かった場所から強いX線が突然出始めたのを発見。ブラックホールに星が吸い寄せられると垂直方向に強いビームが出ると考えられているので、これが星を吸い込まれる瞬間と判断されたそうです。ブラックホールって本当に星を吸い込むのですね。記憶がうろおぼえですが、吸い込んだ星の相似形がまたできるという話をきいたことがあるようなないような。宇宙とは不思議なものです。
もうひとつは、小惑星「イトカワ」のお話。「イトカワ」は壊れた星のかけらが寄り集まってできているので。100万年に数十センチの割合で小さくなって、数億年後にはなくなってしまうのだそうです。
前者のブラックホールの方は、39億光年かなたのお話で、どちらも人間レベルでは気の遠くなるような時間ですが、不変のようにみえる宇宙も確実に姿をかえているのですね。
かたや、我ら人間社会、先日、アップル社のスティーブン・ジョブズ氏がCEOを退任したというニュースがありました。マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏はとっくに一線を退いてしまったし、IT業界もひとつの時代が終わった感があります。とはいうものの、GoogleやFacebookなどの若き経営者たちがIT業界をリードし、そしてまたこれからも新しい何かがでてくるのでしょう。
ふーむ、諸行は無常なんですなぁ。
行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし(鴨長明、方丈記冒頭)



今週の展示は「203 仁王とロックとつぶやきと(金剛力士写真展)」。ギャラリーの壁に敷き詰められた203体の仁王像の写真は圧巻です。こんな仁王さんもいるのという発見間違いなしです。特設仁王門(写真右)もあります。是非お越しください。9月6日迄。