管理人の独り言

管理人の独り言 le monologue

「不信 ~彼女が嘘をつく理由~」

Category: 演劇・美術

三谷幸喜作・演出の「不信 ~彼女が嘘をつく理由~」を見に行きました。
東京藝術劇場シアターイーストで上演、ここは300席くらいの小さな劇場です。ひさびさの小劇場での演劇ということで楽しみにしていました。

真ん中に舞台があり、両側に客席という構成なので、H席ながら前から3番目といういい席。真ん中の舞台というのは、今はもう閉館してしまいましたが、演出がおもしろくて好きだった青山円形劇場を思い出して、開幕前から期待が高まります。

(以下少しネタバレがあります。これから観に行く方、ご注意ください。)
舞台は引っ越してきた若夫婦(段田安則、優香)が、隣の中年夫婦(栗原英雄、戸田恵子)に挨拶に行くところから始まります。そして、その隣家が「雨上がりの動物園」のような異様な匂いがするという、ミステリアスを予感させるような出だしです。あるとき、隣の中年の奥さんがスーパーで万引きをするところを見つけてしまい、それが発端となり、物語が徐々にエスカレートして、嘘に嘘が重ねられ、さらにいろいろ伏線がはられ、どんでん返しに至ります。

真ん中にある4つのスツールを右や左に移動するだけの演出。スツールを移動させる音が最初は少し気になりましたが、物語が進みにつれ気にならなくなります。舞台が真ん中なので、役者さんの顔が見えたり見えなくなったり、それが人の表と裏、真実と嘘を表しているような気がして、地味だけれど、うまい演出だなぁと感じました。ストーリーも面白かったし、芸達者な役者さんをそろえ、これが演劇って思わせるお芝居です。いやー演劇を堪能しました。しかし、ミステリーながら、シニカルなコミックという感じもするので、人により好みは分かれるところかもしれませんが・・・


ブータンブータン
今週の展示は「ブータン王国の染と織」。ブータン国王から称号が贈られたダショー西岡の奥様の企画の展示です。 ブータンの布、バック、民芸品、書籍など。繊細なブータンの織物は必見です。是非お越しください。25日まで

(2017年04月22日)

10年前の想い ~青木美歌さんの展示~

Category: 演劇・美術

10年くらい前、武蔵野美術大学の卒業優秀作品展で、とても美しいガラスの作品を見つけました。暗室に、まるで胞子や菌のような形のガラス作品、作品から少し離れた斜め上のほうから光をあて、それが、太陽とも月とも感じられて、展示のしかたもとても素敵でした。
そもそもガラスは好きなジャンルなのですが、いまだに忘れられない作品で、いつかこの作家さんの別の作品もみたいとずっと思っていました。

そして、その時がついにやってきました。作家の名前は青木美歌さん、銀座のポーラミュージアムアネックスで個展をされているのをTwitterで他の知り合いの作家さんが写真をつけて、つぶやいているのを見つけたのです。しかも、まだ会期中です。こ、これは行かなくては。

展示タイトルは「あなたに続く森」、タイトルも惹かれます。今回もバクテリアや細菌をイメージとしていていますが、たくさんの作品の美しさや透明感から、あたかも不思議な森の中を歩いているような気がします。10年前の作品よりも洗練されていて、作品の影をも意識した、とても素敵な展示でした。
作家の青木さんもいらしたので、初対面にもかかわらず声をかけてしまい、10年前のことを含め、いろいろお話をさせていただきました。私が見た10年前の作品はご本人も今でも気に入ってらして、ホームページのトップ画として使っているそうです。これもなんだか嬉しい。


青木美歌作品青木美歌作品
作品はこんな感じです。透明感のある心が清らかになるような展覧会です。明後日(26日)までですが、銀座方面に行かれる方是非、お勧めです。

(2017年02月24日)

ブリューゲルのバベルの塔

Category: 演劇・美術

新年おめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
HPのトップ画も、1月1日から、昨年12月に個展をしてくださった宮崎望さんの展示風景にしました。ぱぁーと明るい感じが新年らしくて、気に入っています。

さて、先日、今年4月に都美術館で、ブリューゲルの「バベルの塔」展をやるとの記事を見つけました。へー、「バベルの塔」がくるんだぁと思い、その写真をみてびっくり。私の知っている「バベルの塔」ではない。似てはいるけれど違うものでした。私の知っているのは、もう少し明るくてもう少し牧歌的な感じで???所蔵の美術館もオランダロッテルダムとか、これも違う。では、私が20数年前にウィーンの美術館で、絵の前に立ちすくみ、長い間眺めていたあの感動した「バベルの塔」はいったい何だったのでしょう??まさか偽物?でもあのウィーンの美術館は、ブリューゲルのコレクション(多分ハプスブルグ家の)で有名なはずです。

こういうときはインターネット、調べてみたら出てきました。ブリューゲルの「バベルの塔」はほぼ同時期に描かれていて、2枚あるそうです。しかも、その大きさから、ウィーンにあるほうを「大バベル」、ロッテルダムを「小バベル」と呼ばれているそうです。
何だ、何だ、知らないってこわい。余計な事いっぱい考えてしまいました。
ああ、インターネットって素晴らしいわ。ここでふと思いました。これってウィーンで「バベルの塔」を見たという経験があるから、そう思えるんじゃないかって。経験による知識とインターネットから得た知識と結びつけることが、私にとって最良の使い方なんだなと、今更ながら思いました。

4月になったら、都美術館に行こう、そして「小バベル」を見てきます。きっと何も知らずに行くよりずっと面白いはずです。

(2017年01月09日)

三婆

Category: 演劇・美術

例年11月は落ち着いた天気で、展示日和なのですが、今年はあまりよくないどころか、雪まで降った東京。この先どんな天気になるのかいささか心配です。

さて、先日、新橋演舞場に「三婆」を見に行きました。有吉佐和子原作で、ずいぶん前から数多の女優さんが、舞台のみならず、映画やTVでも演じられてきた演目です。10年くらい前に、波野久里子、水谷八重子、園佳也子という配役で観たことがあり、面白かった記憶があります。今回、大竹しのぶ、渡辺えり、キムラ緑子とキャストが一新されたので、それではもう一回と思い足を運びました。

物語の時代は昭和30年代、急死した金融業の男の妻、愛人、男の妹と3人の女性がひょんなことから、同じ家に住むことになることから始まり、そこで起こるバトルと老いても必死に生きる姿をえがいています。幾分現代風にアレンジしてあるのと、自分がその年齢に近づいたこともあるのか、その筋を知っているにもかかわらず、面白くて楽しめました。

原作が気になり、有吉佐和子さんのことちょっと調べてみたら、1984年53歳で亡くなっています。「三婆」を書いたのは1961年、なんと30歳の時です。ひぇー、30歳で、こんな年を重ねた女性の機微を描けてしまうのですか。やはり天才だわ。53歳でこの才能を終えてしまうのはあまりに残念。まぁ天才というのはそうしたものかもしれませんが。


スポットライトスポットライト
今週の展示は、合同写真展『スポットライト~虚構と現実~』です。舞台や映像で活躍中の俳優が俳優を描く、いつもとは少し違う写真展。舞台をギャラリーに置き替えたようなインスタレーションと言ったほうがよいような、面白空間です。29日まで。

(2016年11月27日)

カネオヤサチコ個展と画集

Category: 演劇・美術

先日、カネオヤサチコさんの個展「シンセミア アステロイド」に行ってきました。
カネオヤサチコさんは、昨年の12月に、当ギャラリーでも、個展「隙間的青年百貨」を開催してくれた作家さんです。そのとき私は、どっぷり10日間ギャラリーに在廊して、ずっと鑑賞していました。そして、そのときと同じ作品が多数でていたにもかかわらず、またまたその画力に圧倒されてしまいました。いや画力のみならず、どの絵をみても、これはカネオヤサチコの作品とすぐわかるオリジナリティー、両方を兼ね備えた素晴らしい作家さんだなと、あらためて思いました。

カネオヤサチコさんといえば、とろんとした目の生気のない、それでいて妙な色気があるおにいさんの絵を想像するし、それを愛してやまないファンの方が多いのではないか思いますが、私はむしろそれ以外に惹かれます。少年を描かせれば、ぞくっとするような未完成の色気や、大人になりきれないはかなさを感じさせ、漫画やちょっとしたイラストのカットには、シニカルなユーモアを感じます。その多彩さに舌を巻いてしまいます。

そして、個展とあわせて発売された画集「SAC」、前評判高すぎて、もう売り切れだろうとあきらめていたところ、意外にもまだ残っていて購入することができました。
カネオヤサチコ画集
いつも思うのですが、原画をみたあとの画集は、やはり原画の迫力には到底及びません。しかし、この画集の、中、後半には、漫画やちょっとしたカットが載っています。これが秀逸で、カネオヤサチコさんの魅力をさらに増しています。ちょっとブラックでシニカルで、ユーモアにあふれるこれらを家でよみふけってしまいましたよ、私は。

おそらく、好き嫌いが分かれる作家さんだとは思います。でも一度見る価値は絶対あると思います。カネオヤサチコ個展「シンセミア アステロイド」はヴァニラ画廊(銀座)にて、10月1日まで。

カネオヤサチコHP:「よいこ横丁
余談ですが、私は、カネオヤさんの描く(上記HPにもよく現れる)うさぎが大好きです。画集の表紙の裏にもうさぎがいっぱい。ふふふ・・・
うさぎ

(2016年09月24日)

8月は・・・

Category: 演劇・美術

8月は暑いうえにオリンピックがありました。スポーツ観戦大好きな私は、テレビでオリンピック三昧。リオー東京は時差12時間、さすがにこの年で昼夜逆転生活を送ると体調崩すので、自重しながらではありましたが・・・。

思えば8月は、熱海に花火を見に行ったくらいで、高円寺・阿佐ヶ谷エリアからでていません。オリンピックも終わったしってことで、先日、歌舞伎座に「8月納涼歌舞伎」を行ってきました。
8月の歌舞伎座は三部制、第二部と第三部を通しで観ました。第二部の「東海道中膝栗毛」はやりすぎ感はありましたが、夏歌舞伎らしく楽しい感じ。三階席でしたが、宙乗りのすぐそばで、すごく得した気分でした。また、松本金太郎・市川團子の11歳・12歳コンビが素晴らしく、将来が楽しみです。

三部は、「土蜘蛛」と新作歌舞伎の「廓噺山名屋浦里」。二部のような楽しく気楽な感じかなと思っていたら、これがなかなかのもの。特に「土蜘蛛」の小姓役の市川團子が素晴らしい。第二部の「膝栗毛」は世話物かつ現代風だったのですが、「土蜘蛛」は舞踊劇でいわば伝統歌舞伎の演目。台詞や間の取り方やかなり難しいはずなのに、大人顔負けの素晴らしい演技でびっくりしました。市川團子は市川中車(香川照之)の息子で、現猿翁の孫にあたります。血筋は確かながら、中車が歌舞伎界入りしたのが日が浅く、親から芸の継承をしているわけではないので、よけいにびっくりです。才能ってこういうものなんだなぁと感心してしまいました。今後が楽しみどころか、注目して追っかけていきたいくらいです。

やー、やっぱり外にでて、生でいろいろ触れなきゃだめよね。と思いました。
えっ、昨日全米オープン(テニス)のドローがでたって?そう、月曜日から全米オープンが始まります。ニューヨークなので時差は13時間。だめじゃん、また不規則なテレビ三昧の日々が続きそうです。


朝夜展朝夜展
今週の展示は「朝夜展」。女子美術大学・写真部による写真展です。美大の写真部らしく、展示のしかたがまとまっています。それぞれが感じた「朝」と「夜」をお楽しみください。30日まで。

(2016年08月27日)

いのうえ歌舞伎「乱鶯」

Category: 演劇・美術

先日、新橋演舞場に劇団☆新感線「乱鶯(みだれうぐいす)」を見に行ってきました。

このお芝居、演出がいのうえひでのりで、通称「いのうえ歌舞伎」、今まででみた「蜉蝣峠(かげろうとうげ)」「蛮幽鬼(ばんゆうき)」「阿弖流為(アテルイ)」と、どれも内容もさることながら、派手な演出で面白く、ひじょうに楽しめました。今回も新橋演舞場なので、回り舞台や花道が使えて、さぞかし面白かろうと期待していたわけですが、その期待を裏切らず、いやぁ面白かったです。

内容は人情時代劇という感じ、そういえば、開演前の音楽に「ハチのムサシは死んだのさ」や「木枯し紋次郎のテーマ」がかかっていて、もうそこから懐かしい感じです。物語は天明5年(1785年)からはじまるので、江戸時代の中頃のお話。
立ち回りや演出の巧みさ、くすっと笑うようなユーモアも織り交ぜていて、楽しめる内容です。主役の古田新太、でずっぱりなのに、無理しているところがなく自然で、やっぱりうまいとうならされます。そんなに見ているわけではないので、はっきりとは言えませんが、新感線の舞台はもっと派手で、もっとおちゃらけた笑いがあってというのが常のようですが、今回は小気味いい感じで、このほうがむしろ私好みです。

この日は一番安い席をとったので、後ろのほうですが、舞台全体が見渡せて十分よく見えました。そして、なんと前3席が空いていて、よく見える。これで3500円って、すごく得した気分でした。


いろいろいろ展いろいろいろ展
今週の展示は、「いろいろいろ展」。9人がそれぞれの色で表現する9色の作品展です。それぞれの個性をお楽しみください。22日まで。

(2016年03月19日)

上質の喜劇

Category: 演劇・美術

新橋演舞場で「スーパー喜劇 かぐや姫」が上演中です。
「スーパー喜劇」とは、藤山直美の「喜劇」と市川猿之助(現猿翁)の「スーパー歌舞伎」とのコラボレーションだそうです。藤山直美は、かつて故中村勘三郎と人情喜劇を毎年やっていて、いつも面白かったので、これも面白そうと思ってチケットをゲット。楽しみにしていました。

およそ喜劇ほど難しい演劇はありません。本当に役者がうまくないと、こころから笑えないのです。多分、人を泣かせるのより、笑わせるほうがずっと難しいと思います。
「かぐや姫」はストーリーは、ほぼ童話のかぐや姫と同じで、それにいろいろ肉付けしてあります。「白波五人男」や「東海道四谷怪談」をもじったところもあるのが、歌舞伎好きの私としては嬉しいところです。単純ですが、とにかく面白い。猿之助一門の歌舞伎役者が脇をかためているので、すべてに行き届いていて、こころから笑え、上質な喜劇を観たという感じです。

藤山直美と歌舞伎役者の底力を感じた演劇でした。三階の後ろのほうの席でしたが、十分楽しめました。これで3000円です。安い!すごく得した気分です。



成蹊大学写真部2年展成蹊大学写真部2年展
今週の展示は「成蹊大学写真部 二年展」。二年生だけの写真展です。元気をもらえる展示です。是非お越しください。3月31日まで。

(2015年03月28日)

黒板ジャック

Category: 演劇・美術

月曜の朝、学校に来たら、黒板に素敵な絵がたくさん描かれていたら、子供たちはどう思うのでしょう?びっくりして、嬉しくなるんじゃないかな。

この素敵な試みは、武蔵野美術大学の小中高校で取り組む美術交流の一環だそうで、名づけて「黒板ジャック」。
前日の日曜日に7、8時間かけて描いたそうで、同大の学生の発案っていうところがまた素敵です。描かれた絵は、本人の手で消されたそうで、もったいない気がするけれど、そんな刹那的なのも、また子供たちの心に残るものなのかも知れません。
そして、子供たちはもちろん、学生さんたちも、驚いたり、喜んだりする子供たちの様子をみて、得るものは多いのではないかと思います。

4月の「卒業優秀作品展」でも「移動教室」という、小学校2年生の教室を3回にわたってアートジャックした卒業制作があって感激したけれど、こういう美術交流が土台にあっての制作だったんだなぁと、改めて感心してしまいました。

こういう「ジャック」だったら、いくらでもやって欲しいです。
あぁ私もこういう小学校に通いたかった、というより、今でも見てみたい。やるなぁ~、武蔵野美術大学。


写真xオノマトペ写真xオノマトペ
今週の展示は「写真×オノマトペ展」。写真と「どきどき」「そわそわ」などの擬声・擬態語を組み合わせたグループ展。ギャラリー右側の小スペースでの画像をつかったワークショップがあり、体験型の展示でもあります。楽しい展示ですので、是非お越しください。24日まで。

(2014年11月23日)

「へんちくりん」と「MATSUOKA!」

Category: 演劇・美術

2日続けて素敵な展示に出会いました。ブログの一風変わったタイトルは、その展示名です。

1つ目は高円寺ぽたかふぇさんで出会った平間みはるさんの「へんちくりん展」。
へんちくりん展
樹脂粘土でつくられた小さな「へんちくりん」たちは、シュールで可笑しくて、そして可愛い。ポップな色合いも私好みです。作家の平間さんは大学時代は空間デザイン専攻とのことで、たくさんのへんちくりんたちを飾る模型や構成も素敵です。
まだ卒業してそんなにたっていない若い作家さんだけに、へんちくりんたちといっしょに楽しんで創作している様子が目にうかびます。未完成だけど勢いがあり、今後、へんちくりんがどう育っていくのかがとても楽しみです。
自分のそばにどうしても置きたくなり、上記のDMの作品購入しちゃいました。さて、どこに飾ろう、あー家を片付けなくっちゃ(苦笑)

2つ目は「写真新世紀」で優秀賞を受賞した、南阿沙美さんの「MATSUOKA!」。
モデルさんの容貌とアクティブさに、思わず笑ってしまい、その反面見終わったあとにジーンと何かがこみあげてくる、そんな感じでした。
他の受賞作はともすれば技巧的で、それはそれで素敵なんだけれど、南さんの写真は、直接的でみただけでわかる、つきあげてくるようなパワーを感じずにはいられませんでした。
ポートフォリオに、建物のかげにかくれたモデルさんの足だけが写っている写真がありましたが、それさえもモデルさんの生き生きとした姿が想像でき、思わずくすりと笑ってしまいました。
南さんは、2006年に当ギャラリーで「あとは知らない」という個展を開催してくれました。そのときから人物を撮るのがうまかったけれど、受賞作は、そのよさを成長させて、凝縮したような素敵な写真でした。

あー、私はこういう作家さんたちにどれだけ力をもらっているのだろう。
「へんちくりん展」はぽたかふぇ。さんで17日まで、「写真新世紀」は東京都写真美術館で21日までです。

(2014年09月16日)
©2003-2013 Galerie Juillet.