管理人の独り言 le monologue
大向こう
Category: 演劇・美術
演劇に「大向こう」という言葉があります。これは劇場後方正面の立見席のことや、そこで観る演劇通の人のことをさします。転じて、歌舞伎で屋号「成田屋!」とか「音羽屋!」とか声をかける人のことを「大向こう」とか「大向こうさん」と言います。
誰でも「大向こうさん」になれますが、タイミングがずれたり、1階席からかけたり、女性がかけたりするのはいけないとされています。そして、若い人の声よりは年配の人の声のほうがしっくりきます。
先日、渋谷のシアターコクーンに「コクーン歌舞伎」を観にいきました。席は最後列の通路側でしたが、隣に補助椅子がでていて、シアターコクーンのバッチをつけた年配の男性が座っていました。私に「横で声をかけますから」とわざわざ断ってくださったので、大向こうさんだと思い「わかりました」と答えたら、そのあともえんえんと、コクーンに頼まれて声をかけるとか、役者さんにも許可をもらっているから云々と説明してくださる。「何故?」と思いましたが、シアターコクーンは普段は新劇でつかっているので、コクーンのお客さんは「声をかける演劇」を知らない人が多いのだと気づきました。
その男性、頼まれて来ているだけのことはあって、タイミングもぴったり、そしていい声です。う~んやっぱり歌舞伎は声がかからないとね。とあらためて思いました。
「大向こうをうならせる」(プロがみても感心する演技の意)などともいい、「大向こう」とはしゃれた言葉です。言葉も人も大切な日本の伝統、ずっと残していってほしいものだと思います。



今週の展示は上智大学写真部学外展「re:born2008」です。4月入学の1年生の作品を含むフレッシュな写真を是非ご覧下さい。6月17日まで。
(2008年06月13日)
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